A Piece of Me.

その服には、わたしがいた。

服が変わったら、こころが動いた。
キヤスクのお直しを体験された
ご家族と服の、
そんなお話を、ひとつずつ。

Story01

着ることで、自分の力を信じられた。

Only One Story

 2歳で心臓手術をしたあと、術後の状態が悪く、左手を切断することになったダウン症の息子。幼い頃は、左袖だけ長くなってしまう洋服も、気にせず過ごしていたけれど… 成長するにつれ、やはり不便に。ただ子ども服のお直しの店はなかなかなく、とにかく料金が高いことと、時間がかかることがネックだった。
 そんなときに出会ったのが、キヤスクさん。特にキヤストさんの、「1いえば10わかってくれる感覚」には驚いた。短い左手にぴったりな袖、ファスナーからゴム仕様にお直ししたズボン、マジックテープ仕様にお直しした学ラン。息子もよほどうれしいのか、できる限り介助者さんに頼らず、「自分で(着る)!」と言いながら、脱ぎ着をがんばっている。
 この学ラン、実はお兄ちゃんが学生のときに着ていたもの。彼が帰省したときに、弟の学生服姿をうれしそうに眺めている。

Item
制服上下セット
Detail
  • 上/ボタン留めをマジックテープ留めに変更し、
    袖丈をお直し(右より左を短くした)
  • 下/ウエストを総ゴムに変更。ウエストを広げ、裾上げ
Story02

普通のラッシュガード
みたいに見えたよ」
って言われて、泣きそうになった。

Only One Story

 プール学習の季節が来るたび、不安だった。濡れた服のまま着替えるのは一苦労。気管切開のため、首元にはYガーゼ。市販の水着では、どうしても守りきれなかった。だから、お願いした。「チャックが肌に直接当たらないように」「ガーゼが引っかからないように」「首を痛めないように、リボンをなくしたい」
 キヤストさんは、ただ「直す」のではなく、まるで医療ケアの一員のように、子どもの体と親の気持ちを想像してくれた。ファスナーは少し下から始まり、あて布で肌を守る。ウエストのゴムは、胃ろうに触れないよう、あえて外側につけてくれた。
 写真に映ったわが子の姿は、「ふつうにかわいいラッシュガード姿」。うれしかった見た目も、機能も、すべてがちょうどいい。やっと、安心して水遊びができた。

Item
水着上下セット
Detail
  • 前開き(チャック)+あて布仕様
  • バックリボンをカット
  • 股開き(スナップボタン仕様)
  • ウエスト紐をゴムに変更(表側仕様)
Story03

毛玉になるまで愛された、
やさしさの設計図。

Only One Story

 もともとは、上下セパレートでつくられた服だった。けれど、胃ろうのチューブからの漏れや横漏れ、胃食道逆流による嘔吐が重なって「できれば、1枚で着られるようにしたい」と思った。年齢的にも、5歳児用のおしゃれなカバーオールは見つからず、お直しをお願いしようと、キヤスクさんにかけこんだ。
 糸がほつれたりしないか、不安もあった。でも、届いた服は、驚くほどしっかりと、丈夫に仕立てられていて。毛玉ができるまで、何度も何度も着た。キヤストさんの想いが、縫い目から伝わってきた。子どものその姿を見るたび、うれしくなった。
 更衣が必要なときも、家族も看護師さんも、自然とこの服に手が伸びる。やさしさの設計図みたいな1着。「着られる」だけで、毎日はこんなにも変わる。

Item
上下ドッキングのトップス&ボトムス
Detail
  • 上下ドッキング仕様にお直し
  • 前開き(左身頃が上)+スナップボタン留めに変更
  • 股開き(スナップボタン仕様)に変更
Story04

透ける光をあつめた、春のようなブラウス。

Only One Story

 「かわいい服を、着せたい」。ただそれだけの願いが、ずっと叶わなかった。娘は体温調節がうまくできず、常にアイスノンが欠かせない。だから下着を重ねるのが難しく、透け感のある服を着せることはできなかった。けれど、まるで春がそこにきたような、明るい花柄のブラウスを見つけたとき。「これを着せたい」と思ってしまった。無理かな。暑がるかな。そう思いながらも、キヤスクさんに相談した。
 届いた服には、透け感をやさしく包む裏地がついていた。しかも、肌にベタつかず、さらっとした、気持ちのいい生地で。
 「こんなに素敵な服、どこで見つけたの?」と看護師さんに声をかけられて、「医療的ケア児だからってあきらめなくていいんだ」と、私自身も勇気をもらった。これは、ただの裏地じゃない。「かわいいをあきらめなかった証」のような一着だ。

Item
ブラウス
Detail
  • 裏地を追加(吸水速乾性があり、
    通気性・伸縮性を備えた軽やかな素材)
Story05

自分で脱げた、
がこんなにうれしいなんて。

Only One Story

 寒い日には、自宅の中でもダウンを着る。でも一度着たら、自分では脱げなかった。ファスナーが首元まで届かない。腕に力が入らない。誰かの手を借りなければ、暑くても脱げずに過ごすしかなかった。
 そんなある日、キヤスクさんの存在を知り、「相談してみよう」と思った。左脇から開く新しいファスナー。身頃の前開きも工夫されて、ヘルパーさんに着せてもらったあと、自分の手で、すっと脱ぐことができた。腕をひっぱり、すべりやすいポリエステルの生地をたよりに、ゆっくりと、でも確実に、自分で脱ぐことができた。たったそれだけのことが、ものすごく大きな喜びだった。
 「できなかった」が「できた」に変わるとき、服はただの防寒着ではなく、自立への小さな階段になるのだと思う。

Item
ダウンジャケット
Detail
  • 左脇にファスナーを追加し、脱ぎやすくお直し
Story06

おそろいコーデ」のために、
まっすぐほどいて、
また縫った。

Only One Story

 寝たきりで、気管切開をしている娘と一緒に、通所で企画されたイベントのレモネードスタンドに参加することになった。選んだのは、親子でおそろいのトレーナー。でも、首元が詰まっている服は、カニューレを外してしまう心配があって、ふだんは着せられない。だから、ほんの少し、V字にカットして、前開きに||そんな、ほんの少しの工夫を、キヤスクさんは親身にかたちにしてくれた。
 当日、同じレモン柄のトレーナーを着て娘と並ぶと、「わあ、かわいい!」「すごく似合ってるね!」と声がかかった。娘もとてもうれしそうにしていた。親子リンクコーデで、こんなふうにイベントに出られたのは初めてで、「こんなにうれしいなんて」と、あとからじんわり泣けてきた。
 「着たい服を、着られるようにする」ことは、単に服のことじゃなくて、人生の場面をひらいてくれる魔法だった。

Item
トレーナー2着
(親子リンクコーデ)
Detail
  • 娘用:トレーナー前開き仕様に加工(首元をVネックに)
  • 母用:トレーナー首元のVネック加工のみ
Story07

着やすくなれば、生きやすくなる。

Only One Story

 息子は肢体不自由があり、排泄や着替えには、常に介助が必要である。車椅子に座ったままでも尿パッドの交換がしやすいように、また、寝た状態でもパンツの着替えがスムーズに行えるように。そんな思いから、パンツの両脇を開けるお直しを依頼した。
 するとキヤストさんは、数種類の試作サンプルを縫って送ってくれた。本人にとっても、介助する私たちにとっても、ぴったりの一本が届いた。ファスナーは真横からやや前方にかけての絶妙なカーブ、小ぶりなスライダー、ウエストはマジックテープ仕様。細部まで、想いと工夫が縫い込まれていた。
 服が着やすくなると、心まで軽くなる。それは、息子にとっても、私たち家族にとっても、同じだ。服が変われば、生き方も変わる。その希望を、キヤストさんたちは、そっと縫いとめてくれている。

Item
ナイロンパンツ
Detail
  • 両側をフルオープン仕様に(ウエストから裾までファスナー)
  • ウエスト部分の留め具はマジックテープ仕様
  • ウエストサイズを細く調整する
  • 左足だけを丈つめする
Story08

あきらめない気持ちに、
服が応えてくれた。

Only One Story

 まだ歩けていたころ、おしゃれが大好きな娘が、自分で選んだお気に入りのアウターだった。電車に乗ってのお出かけのために選んだ、思い出の服。でも車椅子生活になり、手の拘縮も進んで、伸縮性のないデニム生地は、いつのまにかタンスの奥で眠ってしまっていた。着たい服、好きな服、選べる服がどんどん減っていく||そんな現実に、私たちの心も沈んだ。
 そんなとき、テレビで偶然見たキヤスクさんの特集。「これだ!」と感じて、すぐに連絡をした。届いたアウターは、背中がマジックテープで開くようになっていて、腕もスッと通る。身体への負担も少なくなり、久しぶりに着られたときの本人の笑顔は、何よりもうれしかった。
 キヤストさんは、ご家族に障害のある方も多いと知って、安心もした。オンラインで完結できるのに、手紙や小さなカードから人柄が伝わる。あきらめないこと。そんな希望を、この服が教えてくれた。

Item
アウター(デニム生地)
Detail
  • 背中側をマジックテープ開閉に変更
Story09

もう一度、わたしを前に向かせた服。

Only One Story

 末期の乳がんの影響で、神経まで傷つき、右手と右腕が動かなくなってしまった。以前のように頭から服をかぶることができなくなって、「着たい服が、着られない」。それは、自分の好きだった世界から切り離されていくような感覚だった。
 昔から、気に入った服を着ることが唯一の楽しみだった。だから、なんとかして、あのお気に入りのワンピースを着たい。その一心で、キヤスクさんに相談した。上から下までぜんぶ前開きにする。キヤストさんは、何度もやりとりしながら、ていねいに希望をかたちにしてくれた。その文章からも、こちらの服を大切に扱ってくださっている気持ちが伝わってきて、胸が熱くなった。
 「着られるようになった」ことで、もう一度、服を買いに行きたいと思えた。服は、ただの布じゃない。着る人の希望を、もう一度、連れ出してくれるものだ。

Item
ワンピース
Detail
  • 元から開く上部に加え、下の部分にも前開き加工を施し、全体を上から下までの前開き仕様に変更
Story10

おしゃれは、
あきらめなくていい。

Only One Story

 娘が人工呼吸器を装着するようになってから、衣服の着脱は、本人にも介助者にも負担が大きくなった。安全に、スムーズに着替えができるように|。そんなときに、キヤスクさんをSNSで知った。
 スマホで打ち合わせができて、外出せずに完結できること。自分の「着たい」気持ちに応えてくれること。一般的なお直し店よりも手が届きやすい価格だったこと。すべてが、ありがたかった。キヤストさんに裏地の提案をしてもらったとき、どの生地も本当にセンスがよくて、組み合わせを考えるのが楽しかった。細かく伝えなくても「わかってくれている」。その安心感が、うれしかった。
 そして届いた服は、想像以上にデザイン性も高くて。おしゃれをあきらめなくていい。その気持ちが、家族みんなの外出をもっと楽しいものにしてくれた。

Item
トレーナー
Detail
  • 前開き加工
Story11

服が届くたび、
感謝の気持ちが
あふれる。

Only One Story

 息子は、寝たきりで人工呼吸器をつけている。低緊張のため、体に力が入らず、だらんとした姿勢で過ごすことが多い。オムツ替えのたびに、服の脱ぎ着が大きな負担になっていた。もっと楽に着せ替えができる方法はないだろうか―そう思い、キヤスクさんに相談した。
 お直しをお願いしたのは、フリースパンツ。股下と脇がスナップで開く仕様になったことで、寝かせたままでもスムーズに着せ替えられるようになった。家族の負担はぐっと軽くなり、なにより、肌ざわりのよい、あたたかな素材を着せてあげられることがうれしかった。
 キヤストさんは息子のことを覚えていてくれて、細やかな提案もぴたりと寄り添ってくれる。障害があると、どうしても選択肢が狭まる。けれどキヤスクさんがいてくれることで、「その人らしさ」を、あきらめずにいられる。このあたたかなサービスが、もっともっと全国に広がってほしいと願っている。

Item
フリースパンツ
Detail
  • 股開き
  • 横開き
Story12

寝たままの着替えが、
ここまで
“ためらいなく”
できるなんて。

Only One Story

 ずっと、みなさんと同じ様なデザインの服を着させたかった。けれど、気管切開と胃ろう、そして側弯があるわが子には、かぶりの服は難しい。寝たきりの生活では、着替えのたびに命のリスクすら感じていた。Tシャツのようなやさしい素材を着せたい気持ちと、現実のはざまで、服選びはいつもためらいをともなった。
 前開きの服がほしい。そう思っていたとき、出会ったのがキヤスクだった。在宅でのやりとりができ、同じキヤストさんが最初からずっと寄り添ってくれる。側弯や気管切開の状態も、すぐに理解してくれた。気候や体調の心配もしてくれる。
 届いた長袖Tシャツは、驚くほどスムーズに、寝たままの着替えができた。こんなに自然に、やさしく、あたたかく、安心が仕立てられた服ははじめてだった。脱ぎ着させるたびに、キヤストさんを思い出す。

Item
長袖Tシャツ
Detail
  • 前開きにお直し(首元にVネック加工あり)
Story13

その一歩が、
自由への扉。

Only One Story

 息子は筋ジストロフィーで、車いすを使っている。とくに排尿時、座ったままズボンを脱がせるのが難しく、学校でも自宅でも、介助者の負担が大きかった。見守る先生方にも、手間や気づかいをかけていたと思う。そんなとき出会ったのが、キヤスクだった。
 学校のジャージを依頼したとき、前が大きく開くようファスナーをつけてもらい、見た目も自然な仕上がりにしてくださった。お直しが戻ってきた日、息子がうれしそうに言った。「学校でも、もう何も困らなくなったよ!」それだけではない。中学生になった息子には、友達と出かけたい気持ちもある。お直ししたズボンなら、自分でトイレに行けるから、親が付き添わなくても安心して外出できる。友達とだけで外に出かけられることが、息子にとっては特別にうれしいことのようだ。
 自由がひとつ、ふたつと増えていく。親としても、不自由になっていく生活のなかで、「自分でできること」が少しでも長く続いてほしいと願っている。だからこそ、キヤスクの提案や工夫に、心から感謝している。

Item
ジャージショートパンツと
チノショートパンツのセット
Detail
  • ジャージショートパンツ:ファスナーを取り付け、
    前が大きく開くようにお直し
  • チノショートパンツ:長いファスナーに取り替え、
    前が大きく開くようにお直し